REVIEW

旅と日々【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『旅と日々』シム · ウンギョン/堤真一

REVIEW

つげ義春の「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」を原作に、『ケイコ 目を澄ませて』『夜明けのすべて』などを手がけた三宅唱監督が映画化した本作は、日本映画では18年ぶりにロカルノ国際映画祭で金豹賞(グランプリ)を受賞、加えてヤング審査員賞特別賞をW受賞しています。

映画『旅と日々』シム · ウンギョン/佐野史郎

脚本家の李(シム・ウンギョン)は、壁にぶち当たり、ぶらりと旅に出ます。宿も予約しておらず、泊まるところがなかなか見つからない李は、山奥の宿を紹介され辿り着きます。そして、亭主(堤真一)が1人いるだけで、他に客もいない宿で数日を過ごします。

映画『旅と日々』シム · ウンギョン/堤真一

「ここに女性1人で泊まるの⁈」というシチュエーションはさておき(笑)、のどかな旅の風景が美しく、観ているだけでも日常から少し離れられる感じがします。雪に覆われ外出するにも一苦労という場所にきて、見知らぬ人物と過ごす李の様子には、あてもない一人旅の醍醐味を見てとれます。

映画『旅と日々』河合優実/髙田万作

慣れた日常は楽ではあるけれど、李のように停滞感が出てきたら、日常から一歩出るって必要だなと感じます。そうすれば、当たり前のように感じていたことが当たり前ではなかったり、ちょっとしたハプニングが冒険になったり、人生のスパイスになります。つげ義春の「海辺の叙景」を原作とした劇中劇も哀愁漂う独特な世界観があって、観光目的の旅行とは異なる、旅の良さを物語っています。本作を観ると、観光目的の旅行とは異なる旅をしてみたくなりますよ。

デート向き映画判定

映画『旅と日々』河合優実

特別デート向きの作品というわけではないものの、ホッコリできるストーリーなので、一緒に気分転換できるでしょう。漠然とした停滞感がある状況は誰にでもあると思います。お互いに日常のモヤモヤを話す、聞いてもらうきっかけに観るのもアリではないでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『旅と日々』シム · ウンギョン

主人公が一人旅をして、ゆっくりと心に活力を取り戻す様子が淡々と描かれていて、見た目に派手さはありません。なので、派手な展開が多いエンタメ超大作が好みの方にはピンとこないかもしれません。ただ、詩的で印象的なセリフが複数あり、心の中を絶妙に表現しているシーンが見どころなので、焦燥感、空虚感、停滞感がある方は感覚的に共感できそうです。

映画『旅と日々』シム · ウンギョン/堤真一/河合優実/髙田万作

『旅と日々』
2025年11月7日より全国公開
ビターズ・エンド
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

© 2025『旅と日々』製作委員会

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年11月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年11月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年11月】のアクセスランキングを発表!

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚 映画に隠された恋愛哲学とヒント集80:おしどり夫婦こそ油断禁物!夫婦関係の壊れ方

どんなに仲が良く、相性の良さそうな2人でも、夫婦関係が壊れていく理由がわかる3作品を取り上げます。

映画『マルドロール/腐敗』アントニー・バジョン マルドロール/腐敗【レビュー】

国民を守るためにあるはずの組織が腐敗し機能不全となった様を描いた本作は、ベルギーで起き、1996年に発覚したマルク・デュトルー事件を基に…

映画『消滅世界』蒔田彩珠 消滅世界【レビュー】

ジェンダー、セックスのどちらにおいてもこれまでの常識を覆す価値観が浸透した世界を描いた本作は、村田沙耶香著の同名小説を原作として…

映画『ナイトフラワー』森田望智 森田望智【ギャラリー/出演作一覧】

1996年9月13日生まれ。神奈川県出身。

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚 佐藤さんと佐藤さん【レビュー】

同じ佐藤という苗字のサチ(岸井ゆきの)とタモツ(宮沢氷魚)は、セリフにも出てくるように「結婚しても離婚しても佐藤」です…

映画『楓』福士蒼汰/福原遥 『楓』カバーアーティスト、十明による“楓”生歌唱付き&サプライズゲスト登壇!特別試写会 9組18名様プレゼント

映画『楓』カバーアーティスト、十明による“楓”生歌唱付き&サプライズゲスト登壇!特別試写会 9組18名様プレゼント

映画『兄を持ち運べるサイズに』柴咲コウ/オダギリジョー/満島ひかり/青山姫乃/味元耀大 兄を持ち運べるサイズに【レビュー】

原作は、村井理子が書いたノンフィクションエッセイ「兄の終い」…

映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 3名様プレゼント

映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 3名様プレゼント

映画『見はらし世代』井川遥 井川遥【ギャラリー/出演作一覧】

1976年6月29日生まれ。東京都出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  2. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  3. 映画学ゼミ2025年11月募集用

REVIEW

  1. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人
  2. 映画『マルドロール/腐敗』アントニー・バジョン
  3. 映画『消滅世界』蒔田彩珠
  4. 映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚
  5. 映画『兄を持ち運べるサイズに』柴咲コウ/オダギリジョー/満島ひかり/青山姫乃/味元耀大

PRESENT

  1. 映画『楓』福士蒼汰/福原遥
  2. 映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ
  3. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
PAGE TOP